帳簿作成

【初心者向け】雇用契約書や労働者名簿の正しい作成方法や間違えやすいポイントを解説

2023年05月25日

【初心者向け】雇用契約書や労働者名簿の正しい作成方法や間違えやすいポイントを解説

この記事の要点

  • 「労働者名簿」は、従業員の個人情報等を管理するためのもの
  • 「雇用契約書」「労働条件通知書」はどちらも、従業員との勤務条件全般について取りまとめたもの
  • 「労働者名簿」への履歴の記載は忘れやすいので要注意
  • 「雇用契約書」「労働条件通知書」には「絶対的明示事項」と「相対的明示事項」がある
  • 正しく作成しないと、従業員とのトラブルや罰金の可能性も!

人が入社した、退社した、勤務時間や勤務体系といった働き方が変更になった、給与・手当が変更になったなどの際には、帳簿の作成や更新が必要となります。

この記事では、「はじめて従業員を雇ったので、帳簿の作り方を一から覚えたい」方や「現状の作成している帳簿の内容で間違ってないのか不安」「自社の帳簿が法令遵守できているか知りたい」といった方に向けて、多くの帳簿の中から今回は「労働者名簿」と「雇用契約書」、「労働条件通知書」をピックアップし、それぞれの特徴や違い、作成ルールや間違えやすいポイントなどについて、一から分かりやすく解説していきます!

「労働者名簿」は、従業員の個人情報等を管理するためのもの

まずはじめに、「労働者名簿」から解説していきます!「労働者名簿」は、その名の通り従業員の名簿で、生年月日や住所など、個人情報等を管理するための帳簿です。「出勤簿」「賃金台帳」と並び法定三帳簿と呼ばれ、法律により会社は作成が義務付けられております。

対象者について

「労働者名簿」は正社員やフルタイム勤務の社員だけでなく、契約社員やパートタイマー、アルバイトなど、雇用関係のある従業員については全員分の作成が必要となります。なお業務委託については、雇用関係ではないため作成は不要です。また、役員についても同様に原則は作成不要となりますが、労働者としての性質も持った役員(兼務役員)の場合には、作成が必要となります。

作成するタイミングと更新

入社するタイミングで作成が必要です。住所や名字など記載内容に変更が生じた場合には修正し、更新をかける必要があります。

「雇用契約書」「労働条件通知書」はどちらも、従業員との勤務条件全般について取りまとめたもの

次に、「雇用契約書」と「労働条件通知書」について解説していきます!「雇用契約書」と「労働条件通知書」はどちらも、従業員がその会社で働くにあたっての条件やルールについてまとめた帳簿です。

「雇用契約書」と「労働条件通知書」の違い

「雇用契約書」が会社・従業員の相互が署名や捺印をするという双方向な性質であるのに対し、「労働条件通知書」は、会社から従業員に渡すことで原則完結する、一方向な性質のものとなります。異なる帳簿ですが、書く内容はほとんど同じものとなりますので、どちらか一つを選んで作成するのが一般的です。

「雇用契約書」は、従業員からも署名や捺印をもらうため帳簿としての法的な効力が高いという特徴があり、一方「労働条件通知書」は従業員の署名や捺印は不要なため、例えば「都合が合わず従業員からなかなか署名をもらえない」といった場面でも、帳簿を完成させられるといった特徴があります。

対象者について

「労働者名簿」と同様、雇用関係のある従業員については全員分の作成が必要となり、業務委託や役員についても同じ考え方となります。

作成するタイミングと更新

入社当日までに従業員本人に渡せるよう、用意をしておきます。また給与や勤務時間、所属部署等の記載内容に変更が生じた場合には原則修正し、更新をかける必要があります。

「労働者名簿」への履歴の記載は忘れやすいので要注意

では実際に作成していく場合ですが、何を記載すべきかは法律で定められていますので、最初のうちはテンプレートをもとに作成することをオススメします。「労働者名簿」のテンプレートは、厚生労働省や労働局などのホームページにも用意されています。

(参考)厚生労働省:様式集

何を書けばいいの?

「労働者名簿」へ記載する項目は次の通りで、前述の通り法律にて定められております。

なお、上記のうち「履歴」とは学歴や職歴のことを指しますが、労働者名簿は作成していても履歴までは記録できていないといった会社が多いため、注意が必要です!

紙で作らないとだめなの?

下記の要件を満たしたうえであれば、パソコン上に作成し、データとして保存することも認められています。

パソコン上での作成・保存でも認められるための要件

(1)法令で定められた要件を具備し、かつそれを画面上に表示し印字することができること。
(2)労働基準監督官の臨検時等、直ちに必要事項が明らかにされ、提出し得るシステムとなっていること。
(3)誤って消去されないこと。
(4)長期にわたって保存できること。
(出典)厚生労働省:Q&A

「雇用契約書」「労働条件通知書」には「絶対的明示事項」と「相対的明示事項」がある

「雇用契約書」「労働条件通知書」の作成方法についても、見ていきましょう。

まずテンプレートについてですが、先程と同様、「労働条件通知書」も厚生労働省のホームページに用意されています。

(参考)厚生労働省:様式集

何を書けばいいの?

記載する内容については「雇用契約書」と「労働条件通知書」ともに共通で、「絶対的明示事項」と「相対的明示事項」の2通りあります。

「絶対的明示事項」は必ず明示が必要な項目で、「相対的明示事項」はその制度を設けている場合に明示が必要な項目です。具体的には、以下の3パターンに分けられます。

①絶対的明示事項(通常)
以下の項目は必ず書面で明示する必要があります。

②絶対的明示事項(特殊)
1つだけ特殊な扱いですが、必ず明示が必要な項目であり、こちらは書面でなく口頭での明示でもOKです。

③相対的明示事項
制度を設けている場合に明示が必要な項目であり、こちらも書面でなく口頭での明示でもOKです。

(参考)兵庫労働局:労働契約等・労働条件の明示

紙で作成や交付、保存しないとだめなの?

「労働者名簿」と異なり、「雇用契約書」や「労働条件通知書」は従業員本人への交付が必要となるため、紙で作成のうえ締結・交付するのが原則です。ただし、例外として本人が希望する場合に限り、FAX・メール・SNS等でも労働条件を明示することが認められており、また新型コロナウイルスの影響によるテレワークの増加やDX化の流れを受け、現在はWEB上で完結できる電子契約サービスを利用する会社も徐々に増えつつあります。

正しく作成しないと、従業員とのトラブルや罰金の可能性も!

では仮に作成していなかった場合や、作成はしているけど内容に不備や誤りがあるような場合に、どういった問題があるのでしょうか?

行政手続きや各種申請時に必要

具体的には、以下のようなケースで提出を求められることがあります。

また例えば国の助成金を申請しようとした際には、基本的にどの助成金でも対象者の「雇用契約書」か「労働条件通知書」の提出が求められ、かつ内容が適正であるかについても細かく確認が行われます。

罰則について

ここまで作成時のルールや注意点についてご説明してきましたが、これらの決まりに対して違反の状態となってしまっている場合には、罰則として30万円以下の罰金を科される恐れがあります。

以上の内容を正しく理解したうえで、適切に作成・管理していくことが大切となります。

いかがでしたでしょうか。この記事では「帳簿の作成」というテーマで、「労働者名簿や雇用契約書の基礎知識」についてや「作成時のポイント・注意点」、また「正しく作成しなかった場合のリスク」についてお話ししてきました。これから社内の帳簿の作成や見直しを進めていく方にとって、この記事が少しでも参考になれば幸いです!

よくあるお悩み

よくあるお悩み…

  • 「雇用契約書」や「労働条件通知書」って、入社当日に渡さないとだめ?
  • 作成してみたけど、内容に問題がないかやっぱり不安…
  • 他の帳簿についても、同じように間違えやすいポイントや注意点を知りたい…

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